沖縄での一人一票実現訴訟の思い出
私が平成19年8月から28年2月まで加入していた沖縄弁護士会の今年1月31日付け発行の会誌が昨日届きました。
沖縄弁護士会の会報(会誌)は、遅れるのが通常でしたから発行予定日より1月遅れでは早い方だと思います。
沖縄弁護士会から他会に移った者に沖縄の思い出や近況を書いて欲しいと求められたので、昨年寄稿しました。会誌は一般に公開されているものではないです(所属弁護士や裁判所等と、他の弁護士会に配布されるくらいのものでしょう。)
私が寄稿したものは一般に公開するほどのものではないです。
ただし、一人一票訴訟(選挙無効訴訟)については、今年もまた参議院議員の選挙が予定されており、衆議院の解散もささやかれていますので、この問題について書いたところを私の元原稿から下記に転載します。
多くの方に一人一票実現訴訟にご関心を持っていただければ幸いです。
【一人一票実現訴訟】
沖縄で関与した事件で思い出深く、記事に書けるものとしては「一人一票実現訴訟」があります。
いわゆる議員定数不均衡訴訟は、故越山康弁護士・山口邦明弁護士のグループが毎回の国政選挙で無効訴訟を東京高裁に提起して、この問題の火を絶やさずにいました。
私は、このグループとは別に東京の升永英俊弁護士と久保利英明弁護士が平成21年8月の総選挙の選挙無効訴訟を各地の裁判所に起こす際に、福岡高裁那覇支部に提訴するのに原告本人として関わりました。
この選挙無効訴訟では、従来から「較差○倍」という表現を報道等でされます。しかし、問題は選挙区ごとの国民の1票の価値が不平等なために全国民の代表である議員を選出する過程つまり民主制の過程が歪んでいるというところにありますから、選挙区間の実質的な投票価値が等価値でないことが問題です。それなのに、「較差○倍」という「どの程度の較差なら許されるか」という較差が生じることをあたかも許したような表現は不適当です。この表現に替えて、選挙人数が最少の選挙区を1票としたときに、他の選挙区の1票の価値が「0.○票」であると示して、実質的な一人一票でないという問題を判決でも報道でも端的に示すべきです。
那覇の司法記者クラブでの記者レクでも繰り返し「0.○票」と書くべきことを主張していましたので、報道でもそのように書く新聞・テレビも出てきました。
福岡高裁那覇支部平成22年3月9日判決で初めて判決理由の「裁判所の判断」の中で「1人0.5票」という表現が書かれたのは画期的な一歩だったと思っています。
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