憲法記念日

 5月3日は憲法記念日です。


 改憲、憲法改正を言う政治家らがいます。

 改憲を主張する中身が問題です。

 改憲する事項は何でも良くて、単に「改憲したい」というのは、

国家・国政の私物化です。


 独裁国家の場合はさておき、

自由主義の国の「憲法」は、

国家権力を分立・制約する仕組みを定め、

国民の権利・自由を保障するための、

国の基本ルールです。


 国民・国家にとって重要なルールを変えようというのであれば、

国会の制定する法律では対応できない事項であるといった改正の必要性があり、

国民の権利・自由を制約するような危険のない許容性(合理性)を議論すべきです。


 ただの「憲法を変えたい」という妄執で、

思いつきの改正事項で国のルールを変えるべきではありません。

 憲法改正を言う者の中身は、しっかり検証されるべきです。




 ところで、私は、憲法改正するとすれば、

⑴ 内閣が恣意的に衆議院を解散することを否定することの明示

⑵ 内閣の法案提出権を原則的に禁止することの明示

の2点です。


 ⑴の衆議院の解散権は、「首相の専権」のように言われますが、憲法上は衆議院の解散は実質的には内閣の責任によりなされます。

 衆議院の解散は天皇の国事行為(憲法7条3号)で、内閣の助言と承認により行われます。

 憲法上は、衆議院の解散は、内閣不信任案の可決あるいは信任案の否決の場合(69条)に予定されています。

 この場合でないのに、政権与党にとって都合が良いタイミングに合わせて行われる衆議院の解散には、私は憲法上の根拠は無いと考えています。

 「民意を問う」という美名のもとで衆議院を解散することを許すべきではありません。

 もし、「民意を問う」というのであれば、内閣不信任案を可決するなりして、争点と現職議員の立場を明確にした上で、衆議院の解散と総選挙がされるべきです。


 ⑵の内閣の法律案の提出権の禁止は、国会を本来の立法機関として機能させるとともに、

行政府つまりは官僚が実質的に法律を作ることを禁止するためです。


 上記⑴⑵は、法律によっても実現できるかもしれません。

 三権の一つの内閣の権能を他の国家機関である国会が制約することができるのかという議論にもなりそうですし、これまでの事実上の国のあり方を変えることから憲法改正によるのが望ましいと考えます。





 

弁護士の言いぐさ

札幌の弁護士林朋寛のブログです。